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■最高のブランデーはアルマニャックブランデーから始まる。その名は、VAGHI(ヴァギー)  
グラスから立ち昇るゆたかな香り。長い歳月を神秘の琥珀色に変えて、贅沢なひと時を与 えてくれるもの。なにより芳醇という言葉がふさわしい高貴な美酒。 アルマニャックはフランス南西部、ガスコーニュの山岳地帯、アルマニャック地方から産出 される類まれなブランデーで、フランス産の高級ワインと同じくA・O・C(原産地統制名称法 )によって、その品質が厳密にすすめられている。
アルマニャック地方は、冬にはピレネーおろしと呼ばれる山脈からの風が吹きつけ、夏には 焼け付くような太陽がようしゃなく照りつけるきびしい土地柄で、この極端ともいえる気候と、砂質と石灰粘土質の土壌が、アルマニャックをコニャックとはひと味ちがう風格のある独特 のブランデーにしているのだ。
自然と、人と、時間と、技が、ゆるやかにとけあう時。一粒のぶどうが、琥珀色の神秘にかわる。

アルマニャックのぶどう農家。
アルマニャックのためにぶどうをつくる農家の人々。彼らにとってぶどう畑は自分の子供のようなものだろう。
土質というのは地域ごとにそれぞれ違った特性をもっているわけだが、ぶどうづくりにたづさわる人々は、自分たちの土地に合った仕事のやり方を経験的に見つけ出す。ここの人々は、冬が終わる前に、もうぶどう畑の手入れを始めるのだ。これはフランスの中でもかなり早い部類に属する。良いぶどう作りは厳寒の冬に始まるのだ。
そして季節が変わり、早春の雨を迎え、剪定したぶどうが希望に満ちた芽を出す頃には、から守ってやることが日課になる。穫期が近づくと農家の人々はぶどうの成熟具合に細心の注意をはらい、ひんぱんにチェックすることを怠らない。なぜなら、熟れすぎてしまうと、せっかくのアロマ物質を酸化させてしまい、あの誇り高いアルマニャックにならないからだ。燃え立つ紅葉の季節、ぶどう取り入れの季節。ぶどうの取り入れが決まると摘み子たちのにぎやかな作業が始まる。彼らは生き生きと、朝早くから、夜おそくまで愛らしいぶどうのために働き、アルマニャック地方の秋の活気で彩るのである。
ぶどうは仕込み場に運び込まれるとただちに、圧搾されアルマニャックのための原料白ワインに仕立てられる。またワインのオリなどを取り除くこともしない。
芳醇の魔術。樽詰めから熟成の旅へ。
アランビックと呼ばれる蒸留器から片時も目をはなさず、耳では神秘の音をうかがい、どんな小さな変化にも細心の注意をはらう蒸留業者たち。 

この地方では、かって彼ら蒸留業者たちは何台もの蒸留器をもって、ぶどう栽培者のもとや畑をまわり、その場所、その場所でワインを蒸留したものだったという。
そして、このブランデーづくりの重要な鍵を握る蒸留業者と蒸留器は、栽培農家から賓客のように迎えられたというが、想像にかたくないことだ。 
釜をたくのはクマシデの薪とコナラの薪。一方はあかあかと炎をあげて燃え高温を生み出し、もう一方は良質の炭火となって火力を長持ちさせる。農家の主人と家族たちはこの光景をじっと見つめていたものだった。 

アルマニャックの伝統的蒸留方法の特徴は、原料ワインの供給と蒸留廃液の排除を蒸留器で連続的に繰り返しながら、時間をかけてただ1回だけ蒸留する点にある。
半連続式と呼ばれる独特の蒸留器はすべて純銅製で、その他のいかなる金属も使うことを許されない。 
こうして生まれるアルマニャックは、やはりこの地方、ガスコーニュ産の樫の木で作られた樽に詰められる。
樽の中でおおいなる眠りにつき、香り高い熟成の世界へ旅立つのである。

そして、このブランデーづくりの重要な鍵を握る蒸留業者と蒸留器は、栽培農家から賓客のように迎えられたというが、想像にかたくないことだ。釜をたくのはクマシデの薪とコナラの薪。
  一方はあかあかと炎をあげて燃え高温を生み出し、もう一方は良質の炭火となって火力を長持ちさせる。農家の主人と家族たちはこの光景をじっと見つめていたものだった。

アルマニャックの伝統的蒸留方法の特徴は、原料ワインの供給と蒸留廃液の排除を蒸留器で連続的に繰り返しながら、時間をかけてただ1回だけ蒸留する点にある。半連続式と呼ばれる独特の蒸留器はすべて純銅製で、その他のいかなる金属も使うことを許されない。